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思いつきでTRPG・ボードゲームに関するブログはじめました. といってもクトゥルフ神話TRPG(Call of Cthulhu)に関することがほとんどだと思いますが. よろしくお願いします.
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こんにちは,アノマロです.

 突然ですが,私はCoCに推奨技能は必要ないと考えています.もしかしたら,この時点で「は?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません.「推奨技能が無いとセッションが詰むだろ!」という声も聞こえてきそうです.確かに,インターネットで公開されている個人製作のシナリオや同人シナリオには,推奨技能に成功しなければ先に進めないようなものもあることも事実です.しかし,待ってください.実は基本ルールブックに掲載されている4つのサンプルシナリオには,推奨技能が書いてあるものは1つも無いのです.そう,1つも.他にも,本国アメリカでケイオシアム社が発行したシナリオには,「取得することが推奨される技能」の記述は非常に稀です.

 私の主張は,しかし「だから推奨技能の提示はCoCの遊び方として邪道だ!」というものではありません.CoCは自由であり,あらかじめ推奨技能を提示することは何らルールに反したものではないのです.そして,日本で発行されたサプリ掲載のシナリオには,ちらほら「推奨技能」の記述があるシナリオもあります.例えば私の大好きな「しろがねコーヒー」にも推奨技能があります.従って,推奨技能を提示することは日本においてはかなりメジャーな遊び方だと言えます.

 では,CoCに推奨技能は必要ないという冒頭の主張はどういうことか.これは,「推奨技能が無いほうがセッションを楽しく遊べる」という私の考え方を示したものです.そしてその根拠は【解決策の多様性】と【自由な探索者作成】という2つの要素に分けられます.


【解決策の多様性】
 CoCの楽しいところは,提示された課題・問題に対して,探索者がパーソナリティーに沿ってどう解決策を考え,実行していくかというところに尽きると思います.例えば探索者が訪れた辺境の村で,生贄を捧げるような凄惨な儀式が行われ,邪神があと一歩で復活しそうだと調べが付いたとしましょう.ある探索者は正義に燃えるジャーナリストで,写真を撮って証拠を集めて警察当局に訴えるかもしれません.また,ある探索者は無骨な退役軍人で,銃を取って戦うことを選ぶかもしれません.この2つのケースは,それぞれのプレイヤーが「この探索者ならこうする」と考えたから生まれた結果なのです.当然,それぞれの解決策で使われる技能はまったく違います.前者は〈写真術〉〈隠れる〉あるいは警察に対する〈法律〉や〈信用〉あたりでしょうか.後者はとにかく銃を扱う技能とたくさんの耐久力ですね.探索者の数だけ宇宙的恐怖に立ち向かう策がある,「解決策の多様性」というものが私は楽しいと思っています.

 推奨技能がある場合,この楽しみは失われがちです.推奨技能は『あるルート・ある解決策』を想定して設定されることがほとんどです.必然的に,推奨技能を取っていけばセッションにおける解決策は一様になってしまいます.悪く言えば「誰がやっても同じ」になってしまうのです.それでも,推奨技能を使う以外の解決法を認めてくれる柔軟なシナリオ(あるいはキーパー)が相手の場合はまだ自分なりの方法を考える余地はあります.しかし中には,シナリオが想定した技能を使用しないと解決できないようなものもあります(俗にいう「詰み」が発生します).

 この手のシナリオは,誰がやっても同じにならないためにある形式をとっていることが多いです.探索者(プレイヤー)に「選択」を迫るのです.例えば,「自分が閉鎖空間から脱出するために,NPCの少女を殺さなければならない.逆に自分を殺せば,その少女を脱出させることができる.」とか,そういう風な選択です.探索者を生還させるためには,少女を殺したという業を背負うのでいわゆる「しんどみ」?を得ることができます.

 (ただ,私はこういうシナリオがあってもいいと思いますし,好きな人が多いのもわかっているつもりです.ノベルゲーでやれとは言いません.サイコロ振らなかったら途端に陳腐になって耐えられなくなるからです.クトゥルフのセッションという形式をとっているからこそ楽しむことができるのです.別ゲーだとは思ってますが!)


【自由な探索者作成】
 推奨技能を「あったら楽しめる技能」として提示するキーパーもいます.技能に成功すればシナリオの背景情報が出ることが多いですね.この場合は「解決策の多様性」を損なっていないと言えます.ただ,推奨技能にはもう一つの問題があります.それは「探索者作成が窮屈になる」という問題です.

 例えば,推奨技能が〈目星〉〈聞き耳〉〈図書館〉だったとしましょう.そして選んだ職業の職業技能が〈目星〉だけを含んでいるとします.〈聞き耳〉〈図書館〉に個人的な興味として50ポイントずつを振り分けた場合,興味技能は100ポイントも消費してしまいます.INTが平均的な値の13だとしたら,もう30ポイントしか残っていません.これでは残りをなんか変な芸術技能にでも振るのが関の山です.

 3つだけでも大変なのに,世の中には推奨技能を10とか15とか提示するキーパーもいます(準推奨技能ってなんだ?).もう,そうなったら職業技能も含めてほとんどが推奨技能に塗り固められた探索者を作らざるを得ません.(というかこの場合は開き直って好きな技能取って行ってもいいんじゃないかとさえ思えます).パーティーで分担すればいいじゃない,思う人もいらっしゃるかもしれませんが,こういうセッションに限って相談しているのを見たことないんです.なんでなんでしょうね.

 私は上に挙げた窮屈な探索者作成よりも,推奨技能の無い「自由な探索者作成」の方が好きです.その日の気分によって,あるいはシナリオの傾向によって「どんなことができる探索者を作ろう」と考える楽しみがあるからです.


【違う楽しみ方があってもいい】
 推奨技能が必要ないという主張に関して「解決策の多様性」「自由な探索者作成」という2つの楽しみ方を挙げましたが,もちろん「その楽しみ方は必要ない」という方がいてもいいと思います.というか,私が以前ツイッターでとったアンケートでは推奨技能があったほうがいいという方が多数派でした.

 世のプレイヤーに推奨技能が必要とされる主な理由は「自分の探索者が活躍できないと嫌だ」「他の人の足を引っ張りたくない」というものだと考えられます.以前のアンケートではそういうコメントが多かったと記憶しています.キーパー側からすれば「シナリオ内で振ってほしい技能がある」「詰み防止のため」という感じだと思います.

 正直,シナリオによってはこれは仕方ないと思います.そして,それで十分楽しんでいる方に「本当の楽しみ方じゃない」というほど傲慢でありたくありません.


【それでも,一人でも推奨技能の無い世界へ】
 もし,これまでの私の意見を読んで「確かに推奨技能が無い方が面白いかも」と思った方がいたら.そして「推奨技能が無い場合どうしたらいいか」と悩んでいるプレイヤーとキーパーの方がいたら.そんな方々のために,次回の記事を書こうと思います.


次回「推奨技能がないセッションでどうするか」
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